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第10回訪問看護雑学講座

皆さんこんにちは!
看護ステーションUru -ウル-、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~介護保険制度~

ということで、訪問看護における介護保険の基本的な仕組みから、

医療保険との違い、利用時の注意点、支給限度額との関係まで、実務に即した視点で深く解説していきます。

 

高齢者の在宅療養を支える「しくみ」を正しく理解する

「できるだけ自宅で過ごしたい」
そう願う高齢者やご家族にとって、訪問看護は命綱のような存在です。

そしてその訪問看護を支える財源のひとつが介護保険制度です。


✅ 訪問看護とは?介護保険との関係性

訪問看護とは、看護師などの専門職が利用者の居宅を訪問し、
医療的ケア(服薬管理、創傷処置、リハビリ、終末期ケアなど)を行うサービスです。

◯ 介護保険と訪問看護の関係性

  • 介護保険の「居宅サービス」に位置づけられた訪問系サービスのひとつ

  • 要介護認定を受けた65歳以上の方(または特定疾病による40~64歳の方)が対象

  • 医師の指示に基づき、訪問看護ステーションの看護師等がサービス提供を行う

📌 介護保険での訪問看護は、「医療」と「生活支援」の中間的な役割を担っています。


🧾 介護保険による訪問看護の利用条件

✅ 利用できる人

対象者 条件
65歳以上 要介護1~5の認定を受けていること
40~64歳 特定疾病(末期がん、関節リウマチなど)による要介護状態

📌 要支援1・2の方は「訪問看護」ではなく「介護予防訪問看護」として提供されます。


✅ 利用に必要な手続き

  1. 主治医から「訪問看護指示書」の交付

  2. ケアマネジャーがケアプランに組み込む

  3. 訪問看護ステーションと契約を結ぶ

📌 利用者の同意と、医師の指示がそろって初めて「介護保険での訪問看護」が可能になります。


⚖ 医療保険と介護保険、どちらが適用されるのか?

実は、訪問看護は介護保険・医療保険どちらでも利用可能ですが、原則として次のように使い分けます。

✅ 原則のルール:「介護保険優先」

  • 要介護認定を受けている人は、まず介護保険での利用が基本

  • 医療的な必要性が高い場合(例:急性増悪期、特別管理が必要な状態)は医療保険での利用が可能

✅ 医療保険が優先されるケース(例)

状況 対応
末期がん 医療保険優先(緩和ケア含む)
急性疾患による処置 医療保険優先
中心静脈栄養、人工呼吸器管理 医療保険優先の「特別指示」対象
退院直後など一時的に頻回な訪問が必要 医師の「特別指示」により週4回まで可

📌 医療保険の適用には、主治医の「訪問看護指示書」や「特別指示書」が必要です。


💰 支給限度額と訪問看護の費用構造

介護保険で訪問看護を利用する際は、「支給限度額」の範囲内での利用となります。

✅ 支給限度額(月額)

要介護度 上限額(概算)
要介護1 約5万円
要介護2 約10万円
要介護3 約15万円
要介護4 約17万円
要介護5 約20万円

※ 上記は地域や単位単価によって若干異なります。

訪問看護1回あたりの費用(1回30分~60分)で 約500~1,200単位(=5,000〜12,000円前後)
→ 1割負担の場合、実費は1回500〜1,200円程度

📌 限度額を超えた場合は全額自己負担となるため、ケアマネとの連携が重要です。


🔁 実務上のポイントと多職種連携

✅ ケアマネジャーとの連携

  • 訪問看護を「ケアプランに位置づける」必要あり

  • 医師・訪問看護師・ケアマネが三者で連携し、「生活全体の支援計画」を共有

✅ 医師との連携

  • 訪問看護指示書の内容が曖昧な場合、支援範囲が狭まる可能性あり

  • 状態変化や緊急時の報告・指示仰ぎも重要

✅ ご家族への説明と合意形成

  • 「何が介護保険でできて、どこから医療保険なのか」を明確に説明

  • 費用負担やサービス制限に対する不安や誤解を防ぐ


✅ 制度を正しく知ることが、安心の在宅療養を支える

訪問看護における介護保険制度は、
高齢者が住み慣れた地域で、安心して医療・看護サービスを受け続けるための重要なしくみです。

✔ 制度の正しい理解
✔ 医師・ケアマネとの密な連携
✔ 本人と家族の意向の尊重
✔ 介護・医療の使い分け

これらを丁寧に積み重ねることで、訪問看護は単なる“サービス”ではなく、
「その人の生き方と暮らしを支えるパートナー」になれるのです。


📋 訪問看護×介護保険の確認チェックリスト

項目 確認すべき内容
要介護認定 有効期限内か?度数に変化はないか?
指示書 医師から発行済みか?期間・内容の明記は?
保険区分 医療保険での適用対象か?介護保険か?
ケアプラン ケアマネジャーと共有・同意済みか?
限度額管理 他サービスとのバランス、超過の可能性は?
利用者・家族の理解 制度の説明・同意・費用面の納得はあるか?

 

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